暴落シナリオをどう置いているか

最終更新: 2026-07-26

「もしリーマン・ショック級の暴落が来たら」を試せる機能です。一番難しいのは下落率ではありませんでした。その後の回復をどう置くかです。単純に元の水準へ戻すだけの回復にすると、暴落を1回入れただけで生涯の平均利回りが恒久的に下がってしまい、過去の市場の振る舞いとも合いません。そこでマネシムは「暴落が無かった場合の資産水準に追いつく」利回りで回復させています。

暴落の年・回復の年で利回りを差し替える

シナリオを決めるのは3つ。暴落が起きる年齢・下落率・回復にかかる年数です。その年齢のリスク資産の利回りを次のように差し替えます。

  • 暴落が起きた年: その年は成長せず、下落率の分だけ資産が減る
  • 翌年から回復年数のあいだ: 回復期間用の利回りを適用する
  • それ以外の年: 通常の想定利回り

暴落が起きる年齢はプリセットに含めていません。人生のどの時点で起きるかが結果を最も大きく左右する変数で、そこを勝手に決めてしまうと試算の意味が薄れるからです。ここは必ず利用者が指定します。

プリセットの根拠

下落率と回復年数は、S&P500(ドル建て・配当込み)の高値から安値まで、そして高値を回復するまでの実績のおおよその数字です。

暴落シナリオのプリセット

シナリオ下落率(%)回復年数回復期間の年利(%)
リーマン・ショック級505年20.4
ITバブル崩壊級457年13.9
コロナ・ショック級301年54.5
  • リーマン・ショック: 2007年10月の高値から2009年3月の安値まで約5割の下落。高値を回復したのは2012年で、およそ5年半
  • ITバブル崩壊: 2000年3月の高値から2002年10月の安値まで。高値の回復は2007年で、およそ7年
  • コロナ・ショック: 2020年2月の高値から3月の安値まで。同年8月には高値を回復しており、実際は1年未満だが最小単位の1年で近似

回復利回りは「トレンドに追いつく率」

ここが設計上の要点です。暴落前の水準に戻すだけの回復にすると暴落が無かった世界に比べて資産が永久に少ないままになりますが、現実の市場では、暴落のあとに通常より強い上昇が続いてトレンドに追いついてきました。

そこで回復期間の年利は、「回復年数のあいだに暴落が無かった場合の資産水準へ追いつく」ように逆算した率にしました。

(1 + 回復期間の年利)^回復年数 = (1 + 想定利回り)^(回復年数 + 1) ÷ (1 − 下落率)

右辺の指数が回復年数+1なのは、暴落の年も本来なら成長していたはずの1年分を取り戻す必要があるため

この置き方なら、シナリオを入れても長期の平均利回りが想定利回りから恒久的に下振れすることはありません。暴落は資産の推移に大きな谷を作る。ただしその谷が生涯のリターンを永久に押し下げるわけではない、という前提です。裏付けとして、S&P500は2009年3月の安値から5年で約2.8倍になり、2020年3月の安値からは1年で約7割上昇しました。

表の回復利回りは、想定利回りが年4%の場合の値です。想定利回りを変えれば必要な回復利回りも変わります。

モンテカルロとの使い分け

暴落シナリオは「この時期にこの規模の暴落が来たら」という特定の1本を見るもので、何歳で起きるかを自分で決めるので、取り崩しを始めた直後に暴落が来るといった最も気になる状況を狙って試せます。

対してモンテカルロは、暴落を含む値動きが無数の順番で起きる世界を多数回まわし、結果の分布を出します。特定の恐怖を確かめたいときは暴落シナリオ、全体としてどれくらいの幅に収まるかを知りたいときはモンテカルロ。そう使い分けてください。

この計算の限界

次の点は計算に反映していません。結果を読むときはこの前提を踏まえてください。

  • 根拠にしているのはS&P500の実績です。保有している資産が異なれば、下落率も回復の速さも変わります。
  • 回復してトレンドに追いつくという前提そのものが仮定です。長期にわたって回復しなかった市場は実在します(日本株の1990年代以降が代表例)。
  • 暴落の年は成長ゼロで下落するという単純化をしています。実際の下落は年をまたいで進むことが多く、下げ止まりの時期も一様ではありません。
  • 期間が重なる複数のシナリオは設定できません。
  • 暴落時に積立を止める、あるいは買い増すといった行動の変化は表現できません。積立額は設定どおり続く前提です。
  • リスク資産だけが対象で、現預金や住宅の価値は変動しません。

出典

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本記事および本サービスの計算結果は、公的統計と一般的な制度に基づく概算であり、特定の金融商品の購入や投資判断を勧めるものではありません。税制・社会保障制度は改正されます。実際の手続きや判断にあたっては、一次情報および専門家にご確認ください。