NISA・iDeCo・企業型DCの扱い

最終更新: 2026-07-26

積立をどの口座で行うかは、生涯の手取りと資産に無視できない差を生みます。そこでマネシムは積立額をNISA・iDeCo・課税口座に分けて持ち、非課税の効果と所得控除の効果をそれぞれ別に計算しています。この記事で説明するのは2つ。採用している上限額と、とくに間違えやすい「会社が出す掛金」の扱いです。

口座を分けずに使ったときの扱い

口座の内訳を使わない状態では、積立はすべて運用益が非課税のものとして計算します。内訳を初めて有効にしたときは、それまでの積立額と残高をそのままNISAに割り当てるので、切り替えの前後で結果はほぼ変わらないはずです。設定を触っただけで数字が動くと、何が原因で変わったのか分からなくなるからです。

NISAの枠

NISAの上限

項目上限
年間投資枠360万円/年
非課税保有限度額(生涯投資枠・簿価)1800万円

年間投資枠は、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせた合計です。枠の区分は持たず、一本の上限です。どちらの枠で買うかまでは表現できません。

課税口座の運用益にかかる税率は次のとおりです。合計は所得税・復興特別所得税・住民税。NISAとの差はここに出ます。

課税口座の運用益への税率 = 20.315%

所得税・復興特別所得税・住民税の合計

iDeCoと企業型DCの拠出限度額

自分で出す掛金(iDeCoやマッチング拠出)の上限は働き方によって違います。

自分で出す掛金の上限(万円/月)

働き方上限
自営業・フリーランス(第1号被保険者)6.8
会社員(企業年金なし)2.3
会社員(企業型DC・企業年金あり)2
公務員2
専業主婦・主夫(第3号被保険者)2.3

企業型DCがある場合、iDeCoに出せるのは「企業型DCの枠から会社の掛金を引いた残り」と上記の上限のうち小さい方です。枠は月5.5万円としました。確定給付企業年金を併用している場合の枠はこれより小さくなりますが、併用の有無をプランに持たないため緩い方を採用し、超過は入力を弾かずに警告を出すだけにしています。

iDeCoの年齢制限

項目年齢
拠出できる上限年齢65歳
受け取りを始められる最短年齢60歳

iDeCoの残高は60歳になるまで取り崩しの対象から外していて、早期リタイアを試算するときに、実際には引き出せないお金を生活費へ充ててしまわないようにしています。

会社が出す掛金は手取りが減らない

ここが最も間違えやすい部分です。積立を「誰が出したお金か」で2つに分けています。

  • 自分で出す分(NISA・iDeCo・課税口座): 手取りから支払う分。その月に使えるお金が減る
  • 会社が出す分(企業型DCの事業主掛金): 手取りが減らない分。資産は増えるが使えるお金は減らない

この2つを一緒に扱うと、会社が出してくれている掛金の分だけ生活費を切り詰めているような計算になり、毎月の収支が実態より苦しく出ます。だからマネシムは2つを別に計算しています。資産に積み上がる総額と、手取りから支払う額です。

選択制DC(給与の一部を掛金に振り替える仕組み)には、さらに別の効果があります。振り替えた分は給与そのものが減る扱いになるので所得税・住民税だけでなく社会保険料まで下がりますが、社会保険料の計算のもとになる標準報酬月額が下がるぶん、将来受け取る厚生年金も少しだけ減ります。

iDeCoの掛金が税を下げる仕組みは、手取りの記事で扱っています。掛金は全額が所得控除になりますが、社会保険料は標準報酬月額から計算されるので変わりません(選択制DCとはここが違います)。

掛金が税を下げる効果はどれくらいか

自分で出した掛金は全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)になります。下がるのは所得税と住民税です。いくら下がるかは「掛金 × その人の税率」で決まり、住民税は一律10%、所得税は課税所得に応じて5〜45%です。

掛金に対して戻ってくる割合の目安

課税所得(所得控除を引いたあと)所得税+住民税
195万円以下15%
195万円超〜330万円以下20%
330万円超〜695万円以下30%
695万円超〜900万円以下33%
900万円超〜1800万円以下43%
1800万円超〜4000万円以下50%
4000万円超55%

所得税と住民税を納めている人なら、掛金の15%以上は税が軽くなる計算です。会社員(企業年金なし)の上限いっぱいで月2.3万円(年27.6万円)を出しているなら、年4.1万円以上になります。税率が高い人ほど大きくなります。税を納めていない人には、この効果はありません。

この節税分は、マネシムの試算に入れていません。収入タブに入れるのは「手取り年収」です。すでに拠出している人の手取りには、節税の結果がもう含まれています。足すと二重に得をした計算になります。これから始める人は、実際の現金の減りがグラフより上の割合分だけ小さくなる、と読んでください。表の割合は概算で、復興特別所得税は含めていません。

この計算の限界

次の点は計算に反映していません。結果を読むときはこの前提を踏まえてください。

  • NISAの売却による翌年の枠復活は考慮していません。売った分だけ生涯投資枠が戻る制度ですが、簡易化のため反映していません。
  • 生涯投資枠の消化は残高を簿価とみなした概算です。実際の簿価は買った価格の累計なので、含み益がある場合は消化がここより少なくなります。
  • つみたて投資枠と成長投資枠の区分を持っていないため、商品の制限は表現できません。
  • iDeCo掛金の所得控除(節税)は試算に反映していません。収入は手取り年収の入力から出発するため、すでに拠出している人の手取りには節税の結果が含まれています。効果の目安は「掛金が税を下げる効果はどれくらいか」を参照してください。
  • iDeCoの受け取り方(一時金・年金・併用)による税金の違いは計算していません。退職所得控除や公的年金等控除の使い方で手取りは変わります。
  • 確定給付企業年金(DB)を併用している場合の拠出限度額の引き下げは反映していません。
  • 2025年度の税制改正で成立した拠出限度額の引き上げ(施行は2027年1月予定)は、施行後に反映します。現在の値は施行前の限度額です。
  • iDeCoの口座管理手数料は計算に含めていません。

出典

関連する考え方


本記事および本サービスの計算結果は、公的統計と一般的な制度に基づく概算であり、特定の金融商品の購入や投資判断を勧めるものではありません。税制・社会保障制度は改正されます。実際の手続きや判断にあたっては、一次情報および専門家にご確認ください。