額面から手取りへの計算(手取り計算機能)
最終更新: 2026-09-07家計のシミュレーションに使う収入は手取りです。額面ではありません。シミュレーター本体は、入力された手取り年収をそのまま使います。額面しか分からない人のために、収入の欄には「手取り計算」という補助機能があり、額面年収から社会保険料、所得税、住民税を順に引いて手取りを概算します。この記事はその機能の中身です。料率と控除はすべて公的機関の公表値から採りました。扶養や各種控除は入れていないので、実際の手取りはここより多めに出る人がほとんどです。
採用している代表値
額面年収と手取り年収の目安(万円/年)
| 額面 | 手取り | 手取り率 |
|---|---|---|
| 300 | 240 | 80% |
| 400 | 317 | 79% |
| 500 | 390 | 78% |
| 600 | 462 | 77% |
| 800 | 594 | 74% |
| 1000 | 726 | 73% |
| 1500 | 1023 | 68% |
会社員本人の年収だけを見た、39歳以下の概算です。40〜64歳は介護保険料が上乗せされるので、手取りは年2〜7万円ほど下がります。扶養控除や住宅ローン控除は入れていません。
この記事の内容
社会保険料を先に引いてから、税を出す
上の表の手取りは、手取り計算機能と同じ5つの手順で出しています。肝は順序です。社会保険料は税を計算する前の所得から差し引かれる(社会保険料控除)ので、税より先に社会保険料を求めておかなければなりません。
- 1. 額面年収から社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険)を求める
- 2. 額面年収から給与所得控除を引いて、給与所得を求める
- 3. 給与所得から社会保険料と基礎控除を引いて、課税所得を求める
- 4. 課税所得に税率を当てて所得税と住民税を求める
- 5. 額面から1と4を引いた残りが手取り
額面が上がるほど手取り率が下がるのは、手順の4で税率が累進するからです。ただし下がり方はなだらかで、社会保険料に上限があって高年収の側では保険料の伸びが止まるぶん、税率の上がり方を打ち消しています。詳しくは次の節で。
社会保険料は協会けんぽと年金機構の公表値
いずれも本人の負担分です。健康保険、介護保険、厚生年金は労使折半で会社が半分を持つので、ここに載せているのは公表されている料率の半分です。
社会保険料率(本人負担分)
| 保険 | 料率(%) | 根拠 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 5.00 | 協会けんぽ全国平均10.0%の労使折半 |
| 介護保険(40〜64歳) | 0.795 | 協会けんぽ1.59%の労使折半 |
| 厚生年金 | 9.15 | 18.3%の労使折半(2017年9月以降固定) |
| 雇用保険 | 0.55 | 一般の事業の本人負担分 |
健康保険料率は都道府県ごとに違います。採ったのは全国平均です。介護保険料がかかるのは40歳から64歳までの人だけなので、手取り計算機能では本人の現在年齢がその帯にあるかどうかで自動的に足し引きしています(配偶者の計算でも本人の年齢で判定します)。
社会保険料には上限があります。年収が一定を超えると、それ以上は保険料が増えません。上限は標準報酬月額の等級で決まっていて、健康保険と厚生年金でそれぞれ次の値を使っています。
標準報酬月額の上限(万円/月)
| 保険 | 上限 |
|---|---|
| 健康保険(第50級) | 139 |
| 厚生年金(第32級) | 65 |
厚生年金の上限は健康保険よりずっと低いところにあります。だから高年収の人ほど、額面に対する社会保険料の比率は下がっていきます。雇用保険だけは別です。上限が無く、額面全体にかかります。
税は令和7年度改正後の控除で計算している
給与所得控除は額面年収に応じた段階制で、令和7年度税制改正で引き上げられた最低保障額をそのまま使っているので、年収が低い層の手取りは改正前より増える計算になります。
所得税の基礎控除も段階制です。合計所得金額に応じて額が変わり、2025年分と2026年分に限った上乗せの特例を含む区分を採りました。税率は国税庁の速算表どおりの累進で、算出した税額に復興特別所得税を上乗せしています。
住民税
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 所得割の税率 | 10%(標準税率) |
| 基礎控除 | 43万円 |
| 均等割+森林環境税 | 0.5万円/年 |
住民税の基礎控除は所得税より小さめです。均等割は、所得割が発生する水準のときだけ課す簡易判定にしていて、非課税限度額の正確な判定が自治体ごとに異なるぶんは割り切りました。
手取り計算機能が使う控除は基礎控除だけです。扶養控除も配偶者控除も生命保険料控除も入れていません。何を入れていないかは、この下の「この計算の限界」にまとめてあります。
手取りから額面へ逆算もできる
逆算もできます。手取りは額面に対して単調に増えます。その性質を使った二分探索で額面を求め、年金計算の「現役時代の平均額面年収」の初期値や、育休給付・住宅ローン控除のように額面が要る計算で使っています。
この計算の限界
次の点は計算に反映していません。結果を読むときはこの前提を踏まえてください。
- この記事の計算はすべて「手取り計算」機能のものです。シミュレーター本体は手取り年収の入力値をそのまま使うので、自分の手取りを知っている人はこの機能を使う必要がありません。
- 賞与を月割りにして計算しています。社会保険料は年収を12で割った額を標準報酬月額とみなすため、標準賞与額の上限が効きません。賞与の比率が高い高年収の人では、実際より社会保険料が多めに出ます。
- 扶養控除、配偶者控除、生命保険料控除、医療費控除、住宅ローン控除、iDeCoの掛金(小規模企業共済等掛金控除)などは、基礎控除以外いっさい入れていません。該当する人の実際の手取りはここより多くなります。額面しか分からない人が手取りの目安を得るための概算です。なお住宅ローン控除の減税額は、この機能ではなくシミュレーター本体が収入側の別の系列として計算します。
- ふるさと納税による住民税の控除も反映していません。
- 健康保険料率は全国平均です。都道府県によって実際の料率は異なります。
- 自営業・フリーランス(国民健康保険・国民年金)の計算には対応していません。会社員を前提とした計算です。
- 住民税は前年の所得に対して翌年課税されますが、同じ年の所得に対する概算として計算しています。
出典
- 全国健康保険協会「都道府県単位保険料率」
健康保険料率・介護保険料率
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
厚生年金保険料率と標準報酬月額の上限
- 厚生労働省「令和8年度の雇用保険料率について」(PDF)
雇用保険料率(本人負担分・一般の事業)
- 国税庁「給与所得控除」
給与所得控除の段階と最低保障額
- 国税庁「所得税の税率」
所得税の速算表
- 国税庁「基礎控除」
所得税の基礎控除の段階
- 総務省「個人住民税」
住民税の所得割の標準税率と均等割
関連する考え方
本記事および本サービスの計算結果は、公的統計と一般的な制度に基づく概算であり、特定の金融商品の購入や投資判断を勧めるものではありません。税制・社会保障制度は改正されます。実際の手続きや判断にあたっては、一次情報および専門家にご確認ください。