公的年金の見積もりと繰上げ・繰下げ

最終更新: 2026-07-26

退職後の家計は、公的年金をいくらと見込むかでまったく違う姿になります。マネシムは勤続年数と平均年収から老齢基礎年金と老齢厚生年金を概算し、受給開始年齢に応じて増減させたうえで、税と社会保険料を引いた手取りに直して家計に載せています。この記事ではその計算式と、意図的に省いている要素を説明します。

1階と2階を分けて計算する

日本の公的年金は2階建てです。1階の老齢基礎年金は納付した月数だけで決まり、2階の老齢厚生年金(報酬比例部分)は現役時代の報酬と加入期間で決まるので、マネシムは両者を別々に計算して足し合わせています。

老齢基礎年金 = 84.73万円 × 納付月数 ÷ 480

満額は2026年度の額。480ヶ月は40年に相当します

報酬比例部分 = 平均標準報酬額 × 給付乗率 × 厚生年金の加入月数

給付乗率は 5.481 / 1000(2003年4月以降の期間に適用される率)

平均標準報酬額は、入力された平均額面年収を12で割って求めます。一方の厚生年金の加入年数には上限があり、70歳まで加入できることから逆算した年数までとしました。

計算に使う上限

項目上限
年金額に算入される年収1230万円
厚生年金の加入年数52年

年収の上限は、標準報酬月額の上限を12ヶ月分にしたものと標準賞与額の上限を年3回分にしたものとの合計で、これを超える年収を得ていても年金額には反映されません。高年収の人ほど、収入に対する年金の割合は小さくなります。

繰上げ・繰下げの増減率

受給開始は60歳から75歳まで選べます。65歳より早めれば1ヶ月あたり一定率で減り、遅らせれば増えます。この増減は一生続きます。

受給開始年齢による増減

選択1ヶ月あたり限度まで選んだ場合
繰上げ(最短60歳)−0.4%−24%
繰下げ(最長75歳)+0.7%+84%

繰上げの減額率は昭和37年4月2日以降に生まれた人に適用される率で、それ以前に生まれた人の減額率はこれより大きくなります。

受給開始年齢は、引退年齢とは別の概念です。繰り下げながら働き続けることもできますし、早めに引退して年金だけ繰り下げることもできます。マネシムは両者を独立した入力として扱っていて、働きながら年金を受け取る期間があれば、給与と年金が重なる区間として計算します。

手取りに直してから家計に載せる

年金にも税と社会保険料がかかります。額面のまま家計に載せると、退職後の生活費に使えるお金を多く見積もってしまいます。だから手取りに換算します。想定は、65歳以上で年金収入だけの単身者です。

  • 公的年金等控除を額面から引いて所得を求める
  • 国民健康保険料・介護保険料を所得に応じて概算する
  • 残りから基礎控除を引いて所得税と住民税を求める
  • 額面から社会保険料と税を引いたものが手取り

国民健康保険料と介護保険料は市区町村ごとに料率が違うので、東京23区の水準を参考にした所得割と均等割で近似しました。所得税の税率は、年金だけの収入なら課税所得が最も低い区分に収まるものとして計算しています。

この計算の限界

次の点は計算に反映していません。結果を読むときはこの前提を踏まえてください。

  • 報酬比例部分は2003年4月以降の給付乗率で全期間を計算しています。それ以前に厚生年金に加入していた期間には、より高い乗率が適用される経過措置がありますが、反映していません。長く働いてきた人の年金はここより多くなる可能性があります。
  • 加給年金・振替加算は計算に含めていません。配偶者がいる場合の上乗せは反映されません。
  • 在職老齢年金による支給停止を考慮していません。働きながら年金を受け取り、賃金と年金の合計が一定額を超える場合、実際には年金の一部が止まります。
  • 経過的加算・付加年金・国民年金基金・厚生年金基金は扱っていません。
  • 遺族年金・障害年金は対象外です。老齢年金のみを計算しています。
  • 手取り換算は単身を前提とした概算です。世帯の構成や自治体によって実際の保険料は変わります。
  • 将来の制度改正やマクロ経済スライドによる給付水準の調整は織り込んでいません。現在の制度がそのまま続く前提の計算です。

出典

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本記事および本サービスの計算結果は、公的統計と一般的な制度に基づく概算であり、特定の金融商品の購入や投資判断を勧めるものではありません。税制・社会保障制度は改正されます。実際の手続きや判断にあたっては、一次情報および専門家にご確認ください。